つくしとふくとネコの母

保護猫の里親が書く日記

さくら猫から天使になりました



 

2018年の5月に私がTNRをして、

 

さくら猫になったすずめちゃん。

 

2022年11月7日午後4時32分

 

さくら猫から天使になりました。

 

亡くなった日のことを

 

記憶が鮮明なうちに残しておきます。

 

11月6日㈰のすずめは、

 

歩くこともおぼつかなくなりました。

 

トイレに行こうとして間に合ないため、

 

トイレシートを敷き詰めました。

 

それでも、1日1回は「外に出たい」と

 

玄関のドアの向こうを見て鳴いてました。

 

気力と体力というよりも、

 

本能なのだと思います。

 

旦那さんがすずめを抱いて、

 

家の周りの様子を見せてやると、

 

うつろだった目がハッキリとします。

 

退院して自宅に連れてきてから、

 

ウトウトしている時間が徐々に増えて、

 

日に日に衰弱していましたが、

 

朝と夜は「外に出して」アピールは続いていました。

 

しかし、11月6日の夜になると、

 

ほとんど歩けなくなりました。

 

数歩で倒れてしまったり、

 

座り込んでしまうようになりました。

 

いよいよなのか・・と思って

 

私はそばに寄り添いました。

 

しかし、退院してから2週間過ぎるまでに、

 

すずめは私の予想も想像もはるかに超えて

 

強い生命力を見せてきました。

 

水だけで生き延びる魔猫?化け猫か?

 

そのくらいの生命力でした。

 

ガリガリになり、歩くこともできず、

 

まったく食べ物を口にしない。

 

それでもどこかで、きっと明日もまた

 

すずめに「おはよう」が言えると思っていたのです。

 

でも11月6日の深夜の様子では、

 

明日の朝はもうすずめは旅立っているかも・・と

 

思ってしまうほどの様子だったのです。

 

声にならない声を出して鳴くと、

 

またゆっくりとした呼吸をしながら朦朧とする。

 

日付が変わる頃にも朦朧とした様子は変わらず。

 

このままずっと起きていているのは、

 

何だかすずめが息を引き取るのを待っているようで嫌だった。

 

でも、寝室にすずめを連れていけない我が家の事情がある。

 

仕方なくケージの中のベッドに入れると

 

すずめはおとなしく入ってくれた。

 

ホッとして歯みがきして、

 

寝る支度を終えてケージの中を見ると、

 

ベッドから這い出てトイレシートの上で

 

ペタンとなっていたのだ。

 

ベッドの中にはいたくないのか、

 

それともトイレに行きたかったのか・・

 

何だかすずめが一人になりたくなくて、

 

出てきたように見えてしまった。

 

なんとなくその場から離れられなくて、

 

結局は明け方近くまですずめのそばにいた。

 

ゆっくりと呼吸しているすずめの様子を見ていると、

 

ほんとにまだまだ生きてくれるような気もするのだが、

 

食べられない、歩けない、水を飲むと嘔吐するという

 

ツラい状態を見ていると、早くラクになって欲しい気もする。

 

自分自身も少しは眠らないとマズいと思い、

 

明け方にすずめをまたケージの中のベッドに移して眠った。

 

朝5時に起きて仕事に行く旦那さんなので、

 

もしもすずめに何か変わったことがあっても、

 

旦那さんが気が付くはずだと思って眠った。

 

しかしすずめのことが心配で、

 

結局は5時過ぎに目が覚めてしまった。

 

慌てて起きると、先に起きていた旦那さんが

 

すずめの反応が弱いと言っていた。

 

声をかけてもうつろな目をしていると。

 

外で生きてきたすずめは、

 

野生の本能は強く、明け方と夜になると

 

しっかりとした目で反応してきたからだ。

 

見てみると、ベッドの中ではなく、

 

敷き詰めたトイレシートの上にいた。

 

隅のほうにはオシッコをした形跡があったので、

 

まだオシッコが出ることにホッとした。

 

水の量も減っているので、

 

飲まなくなったわけではなさそうだ。

 

私はトイレシートを交換するために

 

すずめをベッドの中に入れると

 

自分で体勢を保つことができないので、

 

コロンとしてしまう。

 

少し手伝ってあげると、

 

またベッドの中で朦朧とした表情になった。

 

睡眠不足が続いている私は、

 

もう少しだけ眠ろうと思ったのだが、

 

結局はベッドに入っても眠れない。

 

諦めて洗濯機を回し、

 

コーヒーを淹れた。

 

つくしはまた寝ていて、

 

ふくは私の膝の上で丸くなった。

 

すずめの姿を見ていないと

 

不安で不安で仕方なくなっていた私だが、

 

2匹の猫たちもかなり寂しそうな顔をするし、

 

ストレスを感じていると思っていた。

 

すずめのケージにはり付くのは、

 

つくしとふくが寝ている間にしようと思うのだが、

 

交互に動き始めるので、

 

思うようにいかないジレンマもありました。

 

その日は何となくすずめのそばに

 

長く居たいと思い、

 

一通りの家事を済ませて

 

早々と夕飯の買い物に出かけた。

 

いつもの朝は、ケージから出たがり、

 

家の外に出たいと鳴くのに、

 

そんなこともなく、

 

ただペタンとして寝ているだけ。

 

買い物から帰ったときもベッドの中から

 

動く様子はなかったが、目だけは少しハッキリした。

 

幸いにも、つくしとふくは昼寝中。

 

あたたかい陽射しが入る2階の寝室で

 

気持ちよさそうに寝ている。

 

私はすずめのケージのそばにクッションを置き、

 

コーヒーを飲みながら様子を見ていた。

 

するとすずめは頭をあげて

 

鳴いているような様子を見せた。

 

すでにほとんど鳴き声は出ないのだが、

 

お腹が大きく凹むときは鳴こうとしているのだ。

 

ケージの扉を開けても、

 

簡単に出てこれなくなっていた。

 

ヨロヨロと歩いてコロンと倒れてしまう。

 

私が支えると、顔を向けて視線をケージの上に向ける。

 

「乗せて欲しいんだね」と

 

ケージの上に敷いた毛布の上に寝かせると、

 

横向きになっていたが、すぐにうつ伏せになった。

 

うつ伏せがラクなのだろうか・・・

 

ひざ掛けを何枚か用意して、

 

段差ができるように細長く折り曲げ、

 

すずめを囲むようにした。

 

そこに顔をうずめれば、

 

呼吸が少しラクになるだろうと。

 

そのまま3時間ほど様子を見ている間に、

 

すずめは何度も何度も体勢を変えた。

 

横向きになってみたり、

 

香箱スタイルになってみたり、

 

前足を枕の下に入れてうつ伏せになったり。

 

何となく、呼吸のリズムが早くなったような気がする。

 

そして、何度となく舌を出して口をクチャクチャさせている。

 

水を飲みたいのだろうと、

 

近くに水皿を持って行っても飲んでくれない。

 

仕方ないので、

 

シリンジで口元を湿らせて、

 

唾液で汚れた口の周りを拭いたりした。

 

昨日までにはあまり見られなかったのだが、

 

四肢や頭が小さくビクビクとする。

 

その回数が徐々に多くなっている。

 

お腹を触ると、随分と体温が下がっていて、

 

心臓の動きもゆっくりになっている。

 

「すずめ、あなたはホントに強い子だね」

 

「すずめ、もう休んでいいんだよ」

 

声をかけながら撫で続けていた。

 

午後4時ごろ、

 

うつ伏せの状態から苦しそうに顔を横に向けると、

 

また舌を出し、口から何かを出そうとしているかのような動作をする。

 

その動作の回数が増えてきた。

 

まるで水泳選手が息継ぎのために

 

顔を横向きにするみたいな動きだった。

 

しかし次第に、

 

水泳選手ではなく、

 

溺れかかった人が

 

必死で水面から顔を出して

 

息をしようとしているような

 

苦しそうな様子に変わってきた。

 

私は思わず

 

「すずめちゃん、横向きになった方がラクじゃないの?」と

 

体を横向きにした。

 

そのときだった、急に呼吸が早くなり、

 

何度か大きく痙攣した。

 

私は驚き、思わずすずめを抱いて

 

「すずめ、すずめ、どうしたの!!」と叫んだ。

 

お腹を見ると、すずめの心臓はもう動いていなかった。

 

エコー検査のときにお腹の被毛を刈られたので、

 

仰向けにすると心臓の動きが見えていたのだ。

 

すずめは何度かしゃっくりのように口を開いて

 

肺に残っていた空気を出しているが、

 

それはもう生命の営みを終えた後だった。

 

頭ではわかっているのに、

 

まだ生き返るような気がして、

 

私は何度かお腹をさすってすずめを呼び続けた。

 

しかし、次第に空気を吐く間隔が長くなり、

 

すずめは動かなくなった。

 

腕の中で逝ってしまった。

 

しばらく放心状態で、

 

すずめを抱いたまま動けなかった。

 

目をしっかりと開いているすずめの顔は、

 

この3週間あまり見てきた可愛い子のままだ。

 

私はすずめを抱いたまま、

 

旦那さんにLINEしようとスマホを手にした。

 

時計を見ると午後4時42分だった。

 

あのとき、私がすずめの体を

 

横向きにしなければ、

 

もしかしたら旦那さんが帰ってくるまで、

 

すずめの心臓は動いていたかも知れない・・。

 

そう思って自分を責めたくなった。

 

しかし、呼吸するたびに

 

苦しそうにしているのを見ているだけなんて、

 

私にはできませんでした。

 

すずめは怒っているだろうか・・・

 

ごめんねすずめちゃん。

 

お母さん、あなたの苦しむ姿を見ると、

 

どうしても何かしてあげたくなっちゃうんだよ。

 

もう苦しくないだろう?

 

ホントによく頑張ったね。

 

ホントに立派だったよ。

 

化け猫になって欲しいなんて言ってごめん。

 

すずめにはやっぱり化け猫は似合わないよ。

 

明日、11月9日の午後、

 

すずめは天使になってお空へ飛んでいきます。

 

雀になって戻ってきてくれるかも知れません。

 

また会える日がきっとくると信じて。